英作文でよくあるミスと正しい書き方

はじめに

英作文を書く際、「正しい文法で書けているか不安」「どこがおかしいかわからない」と感じる方は多いのではないでしょうか。実際、日本人の英語学習者が英作文で犯しやすいミスにはいくつかの典型的なパターンがあります。これらのミスを理解し、正しい書き方を身につけることで、自然で読みやすい英語を書けるようになります。本記事では、英作文において頻繁に見られるミスを具体的に取り上げ、なぜそのミスが起こるのかという原因から、正しい書き方まで詳しく解説します。文法的な間違いから語彙の選択、文章構成まで、幅広い視点から英作文の質を向上させるポイントをご紹介していきます。

基本的な語順のミス

主語と動詞の位置

英作文で最も基本的でありながら、多くの学習者が陥りがちなミスが語順の問題です。日本語と英語の語順は根本的に異なるため、日本語の思考パターンのまま英語を書いてしまうと、不自然な文章になってしまいます。

特に多いのが、主語と動詞の位置に関するミスです。日本語では動詞が文末に来るため、英語でも動詞を後ろに置きたくなる傾向があります。例えば、「私は昨日映画を見た」という文を英語にする際に、”I yesterday a movie watched” のように書いてしまうケースが見られます。正しくは “I watched a movie yesterday” となります。

このようなミスを防ぐためには、英語の基本語順であるSVO(主語-動詞-目的語)の構造を意識することが重要です。まず主語を決め、次に動詞を置き、その後に目的語や補語を配置するという流れを常に念頭に置いて文章を組み立てましょう。

修飾語の配置

修飾語の位置も日本人学習者にとって難しいポイントです。形容詞、副詞、前置詞句などの修飾語をどこに置くかによって、文の意味が変わったり、不自然な表現になったりします。

例えば、「赤い美しい花」を英語で表現する際に、”red beautiful flower” と書いてしまうことがあります。しかし、英語では形容詞の順序にルールがあり、一般的に「美しい赤い花」の順番、つまり “beautiful red flower” が正しい表現となります。

副詞の位置についても注意が必要です。頻度を表す副詞(always、often、sometimesなど)は一般動詞の前、be動詞の後に置くのが基本です。「彼はいつも遅刻する」は “He is always late” または “He always comes late” となります。

時制の混乱とミス

現在形と過去形の使い分け

時制の使い分けは英作文における重要なポイントですが、日本語話者にとって特に難しい部分でもあります。日本語では時制の概念が英語ほど厳密ではないため、適切な時制を選ぶのに苦労することが多いのです。

最も基本的な現在形と過去形の使い分けでも、混乱が生じることがあります。例えば、習慣的な行動を表す際に過去形を使ってしまったり、明確に過去の出来事なのに現在形を使ってしまったりするケースです。

「私は毎日コーヒーを飲む」という文を “I drank coffee every day” と書いてしまうのは典型的なミスです。現在も続いている習慣を表すには現在形を使い、”I drink coffee every day” が正しい表現となります。

逆に、「昨日友達に会った」という明確な過去の出来事を “I meet my friend yesterday” と現在形で書いてしまうのも避けるべきミスです。正しくは “I met my friend yesterday” となります。

完了時制の誤用

現在完了形や過去完了形の使い方は、多くの日本人学習者が苦手とする分野です。特に現在完了形は、日本語には直接対応する時制がないため、その概念を理解するのが困難です。

現在完了形を使うべき場面で過去形を使ってしまったり、逆に過去形で十分な場面で現在完了形を使ってしまったりするミスがよく見られます。例えば、「私はその映画を見たことがある」という経験を表す文で、”I saw that movie” と書いてしまうケースです。正しくは “I have seen that movie” となります。

一方で、明確な過去の時点を示す語句(yesterday、last week、in 2020など)がある場合は、現在完了形ではなく過去形を使うのが適切です。”I have seen that movie yesterday” は間違いで、”I saw that movie yesterday” が正しい表現です。

冠詞の使い方のミス

aとtheの使い分け

冠詞は日本語にない概念であるため、日本人学習者にとって最も習得困難な要素の一つです。特にaとtheの使い分けは、英作文の質を大きく左右する重要なポイントです。

不定冠詞aは、初めて言及される単数の可算名詞に使用します。例えば「犬を飼っている」という文では、”I have a dog” となります。一方、定冠詞theは、既に言及されたものや、文脈から特定できるものに使用します。

よくあるミスとして、「学校に行く」という表現で “I go to a school” と書いてしまうケースがあります。しかし、自分が通っている特定の学校を指す場合は “I go to school” (冠詞なし)または “I go to the school” が適切です。

また、一般的な概念を表す際に不適切に冠詞を使用することもあります。「音楽が好きです」は “I like music” であり、”I like a music” や “I like the music” ではありません。

冠詞の省略

冠詞を付けるべき場所で省略してしまうミスも頻繁に見られます。特に、単数の可算名詞には必ず冠詞が必要であることを忘れがちです。

「本を読んでいる」という文を “I am reading book” と書いてしまうのは典型的なミスです。正しくは “I am reading a book” または “I am reading the book” となります。どちらを選ぶかは文脈によって決まります。

楽器の名前の前には通常theを付けるというルールも見落としがちです。「ピアノを弾く」は “I play piano” ではなく “I play the piano” が正しい表現です。

前置詞の選択ミス

時間を表す前置詞

前置詞の選択は英作文において非常に重要でありながら、日本人学習者が最も苦手とする分野の一つです。特に時間を表す前置詞(in、on、at)の使い分けは、多くの学習者が混乱する部分です。

基本的なルールとして、年や月、季節にはinを使用します。「2023年に」は “in 2023″、「春に」は “in spring” となります。曜日や日付にはonを使用し、「月曜日に」は “on Monday”、「3月15日に」は “on March 15th” となります。

時刻にはatを使用するのが基本です。「3時に」は “at 3 o’clock” となります。しかし、「朝に」「夜に」という表現では “in the morning”、”at night” となり、例外的な使い方もあるため注意が必要です。

場所を表す前置詞

場所を表す前置詞(in、on、at)の選択も、多くのミスが生じる部分です。これらの前置詞は、空間の概念や関係性によって使い分けが決まります。

inは三次元的な空間の中を表し、建物や部屋、都市、国などに使用します。「学校で」は “at school” が一般的ですが、「学校の建物の中で」という意味では “in the school building” となります。

onは表面との接触を表し、「机の上に」は “on the desk” となります。また、通りの名前には “on Main Street” のようにonを使用します。

atは特定の地点を表し、住所や建物名、小さな場所に使用します。「駅で」は “at the station”、「家で」は “at home” となります。

語彙選択の間違い

類義語の誤用

英語には似た意味を持つ語彙が多数存在するため、適切な語彙を選択することは英作文の質を決定する重要な要素です。日本人学習者は、日本語の一つの単語に対応する英語の語彙を一つだけ覚えがちですが、実際には文脈に応じて適切な語彙を選ぶ必要があります。

例えば、「見る」という意味でseeとwatchとlookの違いを理解していないと、不自然な文章になってしまいます。seeは自然に視界に入る場合、watchは意図的に注意深く見る場合、lookは目を向ける動作を表します。「テレビを見る」は “watch TV” が適切で、”see TV” や “look TV” は不自然です。

「話す」という意味でのsayとtellの使い分けも重要です。sayは発言内容に焦点を当て、tellは相手に情報を伝えることに焦点を当てます。「彼は私に真実を話した」は “He told me the truth” が正しく、”He said me the truth” は間違いです。

和製英語の影響

日本語に定着している和製英語が、英作文において不自然な表現を生み出すことがあります。日本語として使われている英語風の言葉が、実際の英語では異なる意味を持っていたり、存在しなかったりすることがあるためです。

「アルバイト」という語彙は、ドイツ語由来の日本語であり、英語では “part-time job” や “temporary job” が適切です。「マンション」は英語では大邸宅を意味し、日本語の意味では “apartment” や “condominium” が正しい表現です。

「ペットボトル」は “plastic bottle”、「ホッチキス」は “stapler” が正しい英語表現です。このような和製英語の影響を避けるためには、日本語で使われている英語風の言葉を安易に使わず、正しい英語表現を調べることが重要です。

文章構成のミス

段落の構成

英作文では、文法的な正確性だけでなく、文章全体の構成も重要な要素です。特に段落の構成は、読み手にとって理解しやすい文章を作るために欠かせないスキルです。

英語の段落は、通常、トピックセンテンス(主題文)、サポートセンテンス(支持文)、コンクルーディングセンテンス(結論文)で構成されます。トピックセンテンスで段落の主要なアイデアを提示し、サポートセンテンスで具体例や説明を加え、コンクルーディングセンテンスで段落をまとめます。

日本人学習者によく見られるミスとして、段落内で複数の異なる話題を扱ってしまうことがあります。一つの段落では一つの主要なアイデアに集中し、関連する内容のみを含めるようにしましょう。

つなぎ言葉の使い方

文章の流れを自然にするためには、適切なつなぎ言葉(transition words)の使用が重要です。しかし、不適切なつなぎ言葉を使用することで、文章の意味が不明確になったり、論理的でない印象を与えたりすることがあります。

例えば、対比を表す際に “but” と “however” の使い分けができていないケースがよく見られます。”but” は接続詞として文中で使用し、”however” は副詞として文頭で使用するのが基本です。

「彼は勉強したが、試験に失敗した」という文では、”He studied, but he failed the exam” または “He studied. However, he failed the exam” となります。”He studied, however he failed the exam” は間違いです。

よくある文法ミス

単数形と複数形の混同

英語の名詞には単数形と複数形の区別があり、それに応じて動詞や形容詞の形も変化します。日本語にはこの概念がないため、日本人学習者にとって特に注意が必要な部分です。

可算名詞の複数形には通常sまたはesを付けますが、不規則な変化をする名詞もあります。child-children、foot-feet、mouse-miceなどの不規則変化は特に覚えておく必要があります。

また、複数形の名詞には複数形の動詞を使用する必要があります。「学生たちは勉強している」は “Students are studying” となり、”Students is studying” は間違いです。

不可算名詞の扱いも注意が必要です。information、advice、furnitureなどは不可算名詞であり、複数形にはなりません。「いくつかの情報」は “some information” であり、”some informations” は間違いです。

受動態の誤用

受動態は英語では頻繁に使用される表現ですが、日本人学習者は能動態を好む傾向があります。しかし、場面に応じて適切に受動態を使用することで、より自然な英語表現が可能になります。

受動態を作る際の基本的なミスとして、be動詞の時制が間違っているケースがあります。「この本は昨年出版された」は “This book was published last year” となり、”This book is published last year” は時制が合っていません。

また、受動態にできない動詞を受動態で使用してしまうミスもあります。自動詞(happen、occur、arriveなど)は受動態にできません。「事故が起こった」は “An accident happened” であり、”An accident was happened” は間違いです。

語彙の重複とバリエーション

同じ語彙の繰り返し

英作文において、同じ語彙を繰り返し使用することは、文章の質を低下させる要因となります。読み手にとって単調な印象を与えるだけでなく、語彙力の不足を示すことにもなります。

例えば、「良い」という意味で “good” を繰り返し使用するのではなく、文脈に応じて “excellent”、”wonderful”、”outstanding”、”remarkable” などの語彙を使い分けることが重要です。

動詞についても同様で、「言う」という意味で “say” だけを使用するのではなく、”explain”、”mention”、”state”、”declare” などの適切な動詞を選択することで、より豊かな表現が可能になります。

代名詞の効果的な使用

同じ名詞の繰り返しを避けるために、代名詞を効果的に使用することも重要なスキルです。しかし、代名詞の使い方を間違えると、文章の意味が不明確になってしまいます。

代名詞を使用する際は、何を指しているのかが明確である必要があります。「ジョンとマイクが話していた。彼は疲れていた」という文では、「彼」が誰を指しているのかが不明確です。このような場合は、代名詞を使わずに具体的な名前を使用するか、文の構造を変更する必要があります。

句読点と文章の区切り

コンマの使い方

英語の句読点の使い方は、日本語とは大きく異なります。特にコンマの使い方は、文章の意味を正確に伝えるために重要な役割を果たします。

コンマは、並列する要素を区切る際に使用します。「私はりんご、バナナ、オレンジが好きです」は “I like apples, bananas, and oranges” となります。最後の “and” の前のコンマは、アメリカ英語では使用することが多いですが、イギリス英語では省略されることもあります。

複文において、従属節が主節の前に来る場合は、コンマで区切ります。「雨が降ったので、試合は中止になった」は “Because it rained, the game was canceled” となります。

ピリオドの使い方

ピリオドは文の終わりを示す基本的な句読点ですが、略語や数字と組み合わせて使用する場合には注意が必要です。

略語の後にはピリオドを使用しますが、現代英語では省略される傾向もあります。”Mr.”、”Dr.”、”etc.” などは伝統的にピリオドを使用しますが、”UK”、”USA”、”BBC” などの頭文字語ではピリオドを使用しないことが多いです。

文体の一貫性

敬語レベルの統一

英作文では、文章全体を通じて一貫した文体を維持することが重要です。フォーマルな文体とインフォーマルな文体が混在すると、読み手に混乱を与えることがあります。

学術的な文章では、縮約形(don’t、can’t、won’t など)は避け、完全な形(do not、cannot、will not)を使用するのが一般的です。一方、カジュアルな文章では縮約形を使用しても問題ありません。

また、一人称の使用についても一貫性が必要です。フォーマルな文章では一人称を避ける傾向がありますが、パーソナルな文章では積極的に使用することができます。

語彙レベルの統一

使用する語彙のレベルも、文章の目的や読者に応じて統一する必要があります。高度な語彙と基本的な語彙が混在すると、文章全体の印象が不自然になってしまいます。

学術的な文章では、より正確で具体的な語彙を使用し、一般的な文章では理解しやすい語彙を選択するのが適切です。読者のレベルに応じて語彙を選択することが、効果的なコミュニケーションにつながります。

校正と見直しのポイント

段階的な校正方法

英作文を完成させた後の校正作業は、文章の質を大幅に向上させる重要なプロセスです。一度にすべての要素をチェックしようとするのではなく、段階的に異なる観点から校正を行うことが効果的です。

まず内容と構成の確認を行い、次に文法的な誤りをチェックし、最後に語彙や表現の適切性を確認します。このような段階的なアプローチにより、見落としを減らし、より完成度の高い文章を作成できます。

音読による校正も効果的な方法です。文章を声に出して読むことで、文法的な誤りや不自然な表現を発見しやすくなります。また、文章のリズムや流れも確認できます。

よくある校正ミス

校正作業においても、見落としやすいポイントがあります。特に、同じ種類のミスを繰り返していることに気づかない場合があります。

自分の傾向を把握し、特に注意すべき点をリストアップしておくことが重要です。例えば、冠詞の使用が苦手な場合は、すべての名詞について冠詞の必要性を確認し、時制の使い分けが不安な場合は、各文の時制を systematically にチェックします。

また、校正は時間を置いてから行うことも大切です。書き終わった直後は内容に集中しており、細かいミスを見落としがちです。可能であれば、一日程度時間を置いてから校正作業を行うと、より客観的な視点で文章を見直すことができます。

まとめ

英作文において よくあるミスを理解し、正しい書き方を身につけることは、英語学習の重要な一歩です。語順や時制、冠詞の使い方から文章構成まで、各要素を段階的に改善していくことで、自然で読みやすい英語を書けるようになります。ミスを恐れず、継続的な練習と見直しを通じて、英作文のスキルを向上させていきましょう。本記事で紹介したポイントを参考に、日々の英語学習に取り組んでください。定期的にこれらのポイントを確認し、自分の弱点を意識しながら練習を続けることで、確実に英作文の質を向上させることができます。今日から早速、これらの知識を実践に移して、より良い英作文を目指してください。